初回設定(raspi-config)
初めて起動したあとの各種設定は、付属の設定ツール raspi-config でまとめて行えます。sudo raspi-config を実行すると、メニュー形式で言語・タイムゾーン・キーボード配列などのローカライズ、SSHやVNCといったインターフェースの有効化、ホスト名の変更などを選べます。コマンドを1つずつ覚えなくても、矢印キーとEnterで安全に初期設定を進められるのが利点です。設定後は再起動を促されることがあります。
OSを書き込んだmicroSDで Raspberry Pi を起動できた。次にやるのは、自分の環境に合わせた初期設定だ。
決めるべき項目はいくつもある。言語や地域、キーボードの配列、SSHやVNCといった機能の有効化、ホスト名の変更などだ。
これらをコマンド一つずつ覚えて手で設定していくのは骨が折れる。ファイルの場所を間違えれば、起動しなくなる危険もある。
そんな面倒を引き受けてくれるのが、raspi-config だ。Raspberry Pi OS には、こうした設定を一か所にまとめた専用ツールとして標準で用意されている。
矢印キーとEnterだけで、安全に、しかも設定項目を見落とさずに初期設定を進められるのが大きな利点だ。背後では設定ファイルの書き換えやサービスの有効化を raspi-config が代行してくれるため、利用者は「何を設定したいか」だけを選べば済む。
🖥 そのツールは、どう呼び出してどう動かすのか
raspi-config はシステム全体に関わる設定を変えるため、管理者権限で実行する。
ターミナルで sudo raspi-config と打ってEnterを押すと、青い背景に白い文字の設定メニューが文字画面で開く。
操作にマウスは使わない。上下の矢印キーで項目を選び、Enterで決定、TABキーで画面下の <選択> <戻る> <Finish> といったボタンへ移動する、という操作体系だ。
メニューは大きなカテゴリに分かれている。たとえば「1 System Options」にはホスト名やパスワード、起動方法の設定がある。「3 Interface Options」にはSSHやVNC、I2C・SPIといった外部接続機能の有効化が並ぶ。「5 Localisation Options」には言語・タイムゾーン・キーボード配列・Wi-Fiの国設定が並ぶ。
あとは、目的の項目までたどって選び、画面の指示に従って値を決めていくだけだ。設定を終えてメインメニューで <Finish> を選ぶと、変更によっては「今すぐ再起動しますか」と尋ねられる。
🌏 最初に触るべきは、どの項目か
実際の初期設定でよく触る項目を、順に見ていこう。
地域まわりは「5 Localisation Options」から設定する。L1 Locale で ja_JP.UTF-8 を選べば表示が日本語になる。L2 Timezone で Asia/Tokyo を選べば時刻が日本時間に揃う。L3 Keyboard でキーボード配列を、L4 WLAN Country で Wi-Fi を使う国(JP)を指定する。
日本語環境をきちんと使うなら、このロケールとタイムゾーンを最初に合わせておくとよい。時刻やメッセージの表示が日本語・日本時間で揃って、後が楽だ。
ホスト名は「1 System Options」の S4 Hostname から変更できる。たとえば pi-sensor のように分かりやすい名前にしておくと、後でネットワーク越しに pi-sensor.local の形で見つけやすくなる。
同じく System Options からは、起動時にデスクトップを出すかコンソール(文字画面)で止めるか、自動ログインするか、といった起動の挙動も選べる。
外部機器とやり取りする機能は、「3 Interface Options」にまとめて並んでいる。
SSH を有効にすれば文字ベースの遠隔操作ができる。VNC を有効にすればデスクトップ画面ごとの遠隔操作ができるようになる(先頭の番号はOSバージョンで変わるので、項目名で探すのが確実)。
このカテゴリには、センサーやディスプレイをGPIO経由でつなぐときに使う I2C・SPI・シリアルといった通信方式の有効化も並んでいる。電子工作で外部部品を使うときはここを切り替える。
これらの個別の使い方は別のトピックで詳しく扱う。だが、その入口がすべて raspi-config に集約されている、という見取り図をここで掴んでおくと迷わない。
「8 Update」を選べば raspi-config 自身を最新版に更新でき、新しい設定項目が増えたときに取り込める。
🔄 なぜ「設定したのに変わらない」が起きるのか
つまずきやすい点を挙げていく。
まず sudo を付け忘れることだ。raspi-config をそのまま実行すると権限が足りず設定を保存できないので、必ず先頭に sudo を付ける。
次に、設定を変えただけで反映されたと思い込む失敗。これがやっかいだ。SSHやVNCの有効化、解像度の変更などは、再起動して初めて効くものが多い。変更後に <Finish> から再起動を促されたら、素直に再起動するのが確実である。
操作に慣れないうちは、ボタンへの移動方法で手が止まりがちだ。役割分担はこうだ。項目の選択は上下キー、画面下のボタン(<選択> や <Finish>)へ移るのはTABキー、決定はEnter。これを覚えておくと迷わない。
マウスが効かないことに戸惑う人もいるが、これは文字端末上で動くツールなので正常だ。
なお、Wi-Fiが選べない・有効にならないときは、L4 WLAN Country で国を設定していないことが原因のことがある。電波法の都合で、国を指定するまで無線が無効化される仕様だからだ。
さらに、メニューの番号や項目名はOSのバージョンで多少変わる。番号だけを丸暗記せず、項目の意味で探す姿勢が役立つ。
🛠 このツールは、現場でどこまで効くのか
raspi-config は文字メニューで対話的に操作するのが基本だ。
だが、同じことをコマンド引数で一気に指定する非対話モード(raspi-config nonint ...)も備えている。複数台へ同じ設定を流し込むスクリプトに組み込める。
ヘッドレス運用ではディスプレイがないぶん、この raspi-config がSSH越しの設定の中心になる。Raspberry Pi OS の設定で「どこで変えるんだっけ」と迷ったら、まず sudo raspi-config を開いてカテゴリを眺めてみる、というのが定石だ。
デスクトップ環境がある場合は、メニューの[設定]→[Raspberry Pi の設定]というGUIからも同じ設定ができる。だが画面のない運用や手順の再現性を考えると、文字ツールである raspi-config を使えるようにしておくほうが応用が利く。
最初の環境づくりはこのツールで安全に済ませ、Raspberry Pi OS を自分の使い方に合わせていこう。