ディストリビューションの選び方
Linuxには「ディストリビューション」と呼ばれる無数の配布版があり、どれを選べばいいか最初は迷います。この章では主要な系譜と、迷ったときの現実的な選び方を紹介します。結論から言うと、どれを選んでもコマンドの基礎はほとんど共通しているので、深く悩みすぎる必要はありません。
前の章で、Linuxには「ディストリビューション」という配布版が無数にあると説明した。この章では、実際に何を選べばよいかを整理する。
結論を先に言うと、どのディストリビューションを選んでも、コマンドを打つ・ファイルを操作するといった基礎の部分はほとんど共通している。だから最初の1つ選びに、時間をかけすぎる必要はない。
WindowsやmacOSは基本的に1つの見た目・1つの配布元しかない。これに対してLinuxは、同じカーネルを土台にしながら、いろいろな団体や会社が独自の詰め合わせを作って配っている。この違いが、選択肢の多さにつながっている。
🌳 3つの系譜
数百とも言われるディストリビューションだが、大きく3つの系譜に分けると理解しやすい。Debian系、Red Hat系、Arch系だ。
Debian系は、Debianというディストリビューションを祖先に持つグループで、Ubuntu や Linux Mint がここに含まれる。パッケージ管理に apt というコマンドを使うのが特徴だ。
Ubuntuはこの中でも特に知名度が高く、個人の学習用途から企業のクラウド環境まで幅広く使われている。派生版も多く、情報量の多さは他の追随を許さない。
Red Hat系は、Red Hatという会社が育てた系譜で、Fedora や Rocky Linux が含まれる。企業のサーバー用途で長く使われてきた歴史がある。パッケージ管理には dnf を使う。
Red Hat系は特に業務システムの現場で根強い人気がある。有償サポート付きの商用版が存在するのも特徴で、企業が安心して長期運用しやすい土壌が整っている。
Arch系は、Arch Linuxを祖先に持つ系譜で、Manjaro などが含まれる。最新のソフトを積極的に取り込む傾向があり、自分好みに細かく設定したい人に向く。
🖥️ デスクトップ環境は着せ替え
画面に表示される見た目、つまりデスクトップ環境は、ディストリビューション本体とは別に選べる部品だ。GNOME や KDE Plasma、軽量な XFCE などがある。
同じUbuntuでも、標準のGNOME版と、KDE Plasmaを載せた Kubuntu という派生版が存在するように、中身は同じでも見た目だけ着せ替えられる。
🕰️ Ubuntu LTSという安心材料
Ubuntuには通常版と「LTS」と表記されたバージョンがある。LTSは Long Term Support の略で、長期サポート版という意味だ。
通常版は新機能が早く入る代わりにサポート期間が短い。LTS版は機能の入りは控えめだが、5年間という長いあいだ更新が提供される。初めて使うなら基本的にLTS版を選んでおくと安心だ。
🎯 迷ったときの現実的な選び方
初めてデスクトップ用途でLinuxを触るなら、Ubuntu か Linux Mint のどちらかを選んでおけば大きく外れない。情報量が多く、困ったときに検索して解決しやすいという実利がある。
サーバー用途、たとえば自宅で何かサービスを動かしたい場合は、Debian・Ubuntu・Rocky Linux のいずれかが定番だ。企業の現場でもよく使われており、資料や解説記事も豊富にある。
🔗 どれを選んでもコマンドは共通
系譜によってパッケージ管理コマンドなどに違いはあるが、ファイルをコピーする・移動する・中身を見るといった基本コマンドは、どのディストリビューションでもほぼ同じように使える。
これは、ファイル操作やプロセス管理といった基本コマンドの多くが、特定のディストリビューションではなくLinuxという土台そのものに由来しているためだ。ディストリビューションが変わっても、この土台部分は共通している。
この学習ポータルで扱うコマンドの多くも、特定のディストリビューションに依存しない基本操作を中心にしている。どのディストリビューションで練習しても、学んだ内容はそのまま活きる。
次の章からは、実際に手元の環境にLinuxを用意する方法を見ていく。まずは一番手軽な、Windowsの中でLinuxを動かすWSL2から始めよう。