セキュリティ/権限強化の用語集(25語)
セキュリティ/権限強化に関する Linux 用語を、読み・意味・補足つきでまとめました。
AppArmorアップアーマー
プログラム単位のプロファイルで動作を制限する、Ubuntu系のMAC。
プログラムごとに「許可する動作」を記述したプロファイルを適用し、それを越える振る舞いを禁じる強制アクセス制御。パスではなくラベルで管理する SELinux と異なり、ファイルパスを基準に制御するため比較的設定が分かりやすい。Ubuntu/SUSE系で標準採用される。
auditdおーでぃっとでぃー
特定のファイルやシステムコールへのアクセスを詳細に記録する監査の仕組み。
last・lastbなどが「誰がログインしたか」を扱うのに対し、auditdは「どのファイルが読み書きされたか」「どのシステムコールが呼ばれたか」まで細かく監視・記録できる仕組み。設定次第で記録量が膨大になるため、必要な範囲を絞って運用するのが一般的。
CVEしーぶいいー
世界共通で使われる脆弱性の識別番号。書式はCVE-発見年-通し番号。
Common Vulnerabilities and Exposuresの略で、ソフトウェアの脆弱性1件ごとに一意な番号を割り当てる仕組み。CVE番号自体は識別子であり深刻度を表さない点に注意が必要で、深刻度は別途CVSSといった指標で示されることが多い。ニュースやパッケージの更新情報でよく登場する。
fail2banフェイルツーバン
ログを監視し、ログイン失敗を繰り返す送信元IPを自動でブロックするツール。
認証失敗などのログを監視し、一定時間内に閾値を超えた送信元IPを自動的にファイアウォールで遮断する侵入防止ツール。SSHへの総当たり攻撃対策として広く使われ、ブロックの回数・時間を設定で調整できる。
NOPASSWDのーぱすわーど
sudoers内で、指定コマンドの実行時にパスワード入力を省略させる指定。
sudoersのルールでコマンドの前にNOPASSWD:と書くと、そのコマンドに限りパスワード確認なしでsudoが通るようになる。自動化スクリプトの無人実行に便利な一方、全コマンドに適用するとなりすまし時のリスクが大きくなるため、対象コマンドを絞って使うのが基本になる。
SELinuxエスイーリナックス
ラベルとポリシーでプロセスの動きを強制的に制限するMACの仕組み。
Security-Enhanced Linux。ファイルやプロセスにラベル(コンテキスト)を付与し、ポリシーで許可された操作しか行えないようにする強制アクセス制御(MAC)。Enforcing・Permissive・Disabled の3モードがあり、通常のパーミッションを越えてシステムを守る。
SSHえすえすえいち
ネットワーク越しにサーバを安全に遠隔操作する仕組み。
Secure Shell の略。通信を暗号化してリモートのサーバにログインし、コマンドを実行できる。サーバ側では sshd が22番ポートで待ち受け、ssh ユーザ名@ホスト で接続する。
sshdエスエスエイチデー
SSH接続を受け付けるサーバ側の常駐プログラム(デーモン)。
SSH Daemon の略。リモートからの接続要求を待ち受け、認証して安全な通信路を確立するサーバ側プロセス。設定ファイル /etc/ssh/sshd_config で、rootログイン禁止やパスワード認証の無効化などの堅牢化を行う。
sticky bitすてぃっきーびっと
共有ディレクトリで、自分が作成したファイルしか削除・リネームできなくする特殊権限。
ディレクトリに立てる特殊権限の一つで、代表例は/tmp。書き込み権限を持つ全員が使えるディレクトリでも、sticky bitが立っていれば、ファイルの所有者・ディレクトリの所有者・root以外は他人のファイルを削除できなくなり、共有スペースでの誤削除や悪意ある削除を防げる。
sudoスードゥー
許可された一般ユーザが、特定コマンドだけを管理者権限で実行する仕組み。
superuser do の略。root に直接ログインせず、自分のパスワードで一時的に管理者権限を借りてコマンドを実行する。権限は /etc/sudoers で細かく制御でき、実行内容はログに残るため監査もしやすい。
sudoersすーどぅあーず
誰がどのコマンドをどの権限で実行してよいかを定義する設定ファイル。実体は/etc/sudoers。
sudoコマンドの許可ルールを一元管理するファイルで、ユーザーやグループごとに、実行を許すコマンド・実行する権限(多くはroot)・パスワード要否などを1行ずつ定義する。直接編集は文法エラーで壊れる危険があるため、専用コマンドvisudo経由での編集が推奨される。
suid・sgidえすゆーあいでぃー・えすじーあいでぃー
実行時に所有者・所属グループの権限で動作させる特殊なファイル権限。
suid(set user id)が立った実行ファイルは、誰が実行しても所有者の権限で動作する。代表例はpasswdコマンドで、一般ユーザーが実行してもroot権限でパスワードファイルを書き換えられる。sgid(set group id)をディレクトリに立てると、その中に新規作成されるファイルが親ディレクトリのグループを自動継承し、共有ディレクトリの運用に使われる。
umaskゆーますく
新規作成されるファイルやディレクトリの初期権限を決める差し引き値。
ファイルの理論上の最大権限(ファイルは666、ディレクトリは777)から、umaskに設定された値を差し引いた結果が、新規作成時の実際の権限になる。既存ファイルの権限には影響せず、これから作られるものにだけ適用される点が特徴。
unattended-upgradesあなてんでっど あっぷぐれーど
Debian/Ubuntu系で、セキュリティ更新を自動的に取得・適用する仕組み。
決まったタイミングで自動的にパッケージの更新確認を行い、セキュリティ関連の更新に絞って自動でインストールしてくれる仕組み。設定ファイルは/etc/apt/apt.conf.d/配下にあり、対象リポジトリの範囲や自動再起動の可否などを調整できる。手動更新を忘れがちな運用のリスクを下げる。
パーミッションぱーみっしょん
ファイルに対し誰が何をできるかを定めるアクセス権。
読み(r)・書き(w)・実行(x)を、所有者・グループ・その他に分けて設定する。
ハッシュ値はっしゅち
データから計算される、改ざん検知に使う指紋のような固定長の値。
任意の長さのデータを入力すると、決まった長さの文字列を出力する計算の結果。同じ入力からは常に同じ値が出て、データが少しでも変わればまったく別の値になる性質を利用し、ファイルの改ざんや破損の検知に使われる。SHA-256などの計算方式があり、値から元データを復元することはできない。
ファイアウォールファイアウォール
通すべき通信と遮断すべき通信を選別する、ネットワークの関所。
あらかじめ決めたルールに従い、通信の許可・拒否を判断する仕組み。必要なポートだけを開けて攻撃の入口を減らす。RHEL/MiracleLinux系では firewalld が標準で、内部的に nftables を用いてルールを適用する。
ファイアウォールふぁいあうぉーる
通信を許可・遮断して出入口を守る仕組み。
外部との通信をルールに基づいて通す・しゃ断する防壁。RHEL/MiracleLinux系では firewalld が既定で、firewall-cmd コマンドで操作する。初期状態では多くの通信が遮断されている。
ポートポート
通信の宛先サービスを区別する番号。例: SSHは22、HTTPは80。
1台のホスト上で複数のサービスを区別するための番号(0〜65535)。IPアドレスが「建物」なら、ポートは「部屋番号」にあたる。ファイアウォールでは、どのポートを開けるか閉じるかを通信制御の基本単位として扱う。
ポート開放ぽーとかいほう
特定ポートへの通信をファイアウォールで許可すること。
サービスを起動しても、ファイアウォールがそのポートを通さなければ外部からは届かない。firewall-cmd --add-service や --add-port で許可し、--reload で反映する操作を指す。
共通鍵・公開鍵きょうつうかぎ・こうかいかぎ
暗号化と復号に使う鍵の2つの方式。同じ鍵を使うか、ペアの鍵を使うか。
共通鍵暗号は、暗号化と復号に同じ鍵(パスフレーズなど)を使う方式で、鍵の受け渡しを安全に行う必要がある。公開鍵暗号は、暗号化用の公開鍵と復号用の秘密鍵がペアになっており、公開鍵は誰と共有してもよいが、対応する秘密鍵を持つ人だけが復号できる。gpgコマンドは両方の方式を扱える。
強制アクセス制御きょうせいアクセスせいぎょ
管理者が定めたポリシーで、利用者でも変えられない形で権限を縛る方式。
Mandatory Access Control(MAC)。ファイル所有者が自由に権限を変えられる通常方式(任意アクセス制御=DAC)と異なり、システム全体のポリシーで強制的にアクセスを制御する。SELinux や AppArmor がこれにあたり、侵入されても被害を封じ込めやすい。
公開鍵認証こうかいかぎにんしょう
秘密鍵と公開鍵のペアで本人確認を行う、パスワードより安全なSSH認証方式。
手元に秘密鍵、サーバ側に公開鍵を置き、対応するペアを持つことで本人を証明する方式。秘密鍵はネットワークに流れないため総当たり攻撃に強い。秘密鍵の厳重な保管と、必要に応じたパスフレーズ設定が前提となる。
最小権限さいしょうけんげん
必要な人に必要な分だけ権限を与え、それ以外は与えない設計原則。
Principle of Least Privilege(最小権限の原則)。ユーザ・プロセス・サービスに、業務に必要な最小限の権限だけを付与する考え方。常時 root で作業せず、権限を広げすぎないことで、操作ミスや侵入時の被害範囲を小さく抑える。
認証ログにんしょうろぐ
ログイン試行や権限昇格など、認証に関わる操作を記録したログ。
Debian/Ubuntu系では/var/log/auth.logにテキストとして記録されることが多く、systemd採用環境ではjournalctlコマンドで横断的に確認できる。ログイン成功・失敗、sudoの使用などが時系列で残るため、不正アクセスの痕跡を追う際の一次情報になる。